塩害地域における鋼構造物の保護対策として、構造物本体への重防食塗装はもちろん欠かせませんが、実はそれと同等に重要なのが、構造体を支える接続金物や付属品に使用されるボルト・ナットへの防食対策です。これらの部材は、一般的に溶融亜鉛メッキが施されていますが、メッキ層が比較的薄いため、実際には最も早く腐食が始まる部位として知られています。
特に塩害地では、海からの塩分を含む風雨や飛沫の影響を直接受けるため、ボルト・ナットのような小さな部材であっても、その劣化が全体の耐久性や安全性に大きく影響します。弊社ではこの課題に対し、溶融亜鉛メッキの上から各種高耐食コーティングを施した試料を用い、実際の環境下での性能を検証する暴露試験を行っています。
試験場所は、塩害の影響を強く受ける東京湾内の人工島や、さらに過酷な環境とされる本土から約2,000km離れた島嶼部に設け、長期間にわたる追跡調査を実施中です。このような実証試験によって、現場での実用性や経年劣化の程度を正確に把握し、より信頼性の高い防食対策の開発に繋げています。